英 語 が 話 せ る 飲 食 人 に な ろ う !

飲食人が海外勤務に挑戦する前に、習得すべき4つのこと

「私には何のとりえもないし、、、」「やりたいことが見つからない」
な~んて思っている、飲食人、いませんか?

もしレストランのホールスタッフの経験が2年以上、いえ、1年でもあれば、、、あとちょっと何かを身につけるだけで、あなたを必要としている海外のお店がたくさんあるのを知ってください。

私は6年間、シンガポールの飲食店に勤務していました。そこで日本人のホールスタッフを探しているお店がとても多く、私もたくさん声がかかりました。もし少しでも海外勤務に興味がありましたら、挑戦してみることをお勧めします。

レストランのホールスタッフは、ただオーダーをとって、キッチンからお客様のところに料理を運ぶだけと思われがちの仕事ですが、実は色々な知識や能力、技術、そして生まれ持った資質がないと出来ない仕事だったりします。トレーの持ち方ですら、初めての人には結構難しかったりするんです。

よって、ホールスタッフの経験者は、即戦力が欲しいレストランでは、国内、海外問わず需要が高いのです。

もちろん、残念ながら、海外で働くことは、日本国内での応募の要領で実現する、、、とは言えません。海外で働くためには、現地の政府機関から発行される「就労ビザ」が必要です。国によって条件は若干異なるのですが、飲食人が海外に転職する場合、求められる条件や有利な資格は大体同じです。

ここでは、どんな条件をみたせば海外で働くチャンスがあるか、解説します。なお、繰り返しになりますが国によって条件がそれぞれ異なりますので、行きたい国がありましたら、最初にお調べすることをお勧めします。参考になるサイトがいくつかありましたので、最後の方で紹介させていただきますね。

就労ビザを取得するには?

就労ビザは、基本的には、雇用する企業が、スポンサーになって、月々の給料を提示して申請をします。

つまり就労ビザを取得するには、大きく2つのステップがあります。

1.一番大事なことは、現地の企業(レストラン経営者)に、採用したい!と思われる。

2.現地の企業が、現地の移民局に就労ビザの申請をする。

日本の企業で働く場合は、1だけでよいのですが、海外で働く場合には、2が必須となってきます。
また1のステップは、あなたが、就労ビザを取得可能な要件や資質をもっているかどうかも含めての判断になります。もちろん、企業側が提示する給与面の条件があたなにとってOKならば、2のステップに進むことになります。

就労ビザとは?シンガポールを例にとって解説します

ここでは、私が働いていたシンガポールでのケースを簡単に説明します。詳細については、こちらのサイトで詳しく書かれていますので参考にしてみてください。

1.EP(Employment Pass):マネージャークラスの就労者

  • 最終学歴:専門学校もしくは4年生大学卒以上
  • 固定最低賃金:4500シンガポールドル (税込)
     ※私が渡星した2013年は4500ドルでしたが、帰国した2019年には6000ド以上になるなど高騰し続けました。その理由に日本人や外国人労働者が増え過ぎたからと言われていましたが、本当のところは誰にも分かりません。

2.S Pass: マネージメントに届かないポジションの就労者

  • 最終学歴:大学卒業か短期大学、専門学校
  • 固定最低賃金:2500シンガポールドル(税込)
    ※2013年にはSGD3000ドルでしたが、コロナの後、色々状況が変わったのでしょう。
    最低賃金に関しては、毎年変わります。

現地の企業(レストラン経営者)に、採用したい!と思われるためには

結論から言いますと、現地のレストランの雇用主に、「是非うちで働いて欲しい!」と思われるということです。そのためには、ただお客様のオーダーをとって、お料理を運ぶ以上の仕事が出来るようになってください。

さて、この記事は、2022年7月下旬に書いていますが、私が初めてシンガポールに行った2013年5月とは決定的に違うことがあります。

為替です。

私がシンガポールに行った頃は、1シンガポールドルが、80円前後でした。
この記事を書いている2022年7月下旬現在では、99円。つまり約20円も上がってしまっています。
つまり、以前は、80円でシンガポールドルを1ドル買えたところ、今では、100円近く出さないと、1ドルが買えないのです。(逆に言うと、現地でドルを稼ぐと、日本に戻った時に結構な貯金が出来るということでもあります)

そこで注意してもらいたいのは、お給料の額です。

EPの最低月額固定給与額は、4,500ドル。日本円で、およそ445,000円。(2022年7月下旬現在)
S Passの2,500ドルは、およそ247,500円です。(2022年7月下旬現在)
これは、雇用主が就労者に支払うお給料です。

シンガポールの就労ビザ「EP」は、企業が40万円以上のお給料を保証しなければならない

お客様がオーダーしたお料理をキッチンからお客様に運ぶだけのスタッフに、40万円のお給料を払える企業はあるでしょうか?難しい、、、というより、それは雇用側としてはしません。したがって企業としてはSパスを取得したいところですが、これまたSパスをとる条件が厳しいのです。

シンガポールの就労ビザ「S Pass」の取得のハードルの高い条件

シンガポール政府は、シンガポール人の雇用を確保するため、企業側に外国人(シンガポール人以外)を雇用する場合の条件を設けています。Quota(クオータ: 割り当て、ノルマの意)と呼ばれるものです。全従業員の人数に応じて、一定の割合以上のシンガポール人スタッフを雇用することを条件にしているのです。つまり、シンガポール人スタッフが十分な割合の人数が働いていれば、S Passを発行します、というものです。

しかし、シンガポールにおいて、飲食業は、日本以上に敬遠されており(少なくとも私の印象ですが)、例えば国民の7割を閉める中華系シンガポール人はほぼ、ホワイトカラーの仕事を志望します。よって、残り3割のシンガポール人の飲食業希望の人材の取り合いになっているのが現状です。

一方、EPはシンガポール人の従業員の数を条件としないため、企業によっては、戦略的にEPのスタッフばかり雇用するところもあります。しかし、EPをとるためには、40万円以上の給料を保証しないといけない。つまり、企業側としては、お店の売上をあげてくれるようなスタッフを求めるという訳です。

これはシンガポールでの話ですが、他の国でも、雇用する側は、わざわざ就労ビザを手配するわけですから、出来るだけスペックの高い人材を求めるはずです。シンガポールほど厳しくない国ももちろんたくさんありますが、シンガポール以外の東南アジアで働く場合は、賃金が現地の国の通貨で支払われるため、その給与額だけみると、日本の時の収入より下がってしまうことも多々ありますので、やはり自分のスペックを上げる必要がありますね。

海外の飲食店で仕事を探す前に身に着けておきたい4つの事

1.英会話力

お客様や外国人上司と十分なコミュニケーションがとれること。しかし、朗報もあります。例えば、現地の和食や日本食のレストランで働く場合。同僚に日本人もいることが考えられます。また、提供しているお料理は馴染みの深いものです。よって、基本的な受けこたえと、お料理の説明が出来て、オーダーがとれれるだけの英語力があればいいのです。この程度のことでしたら、日本にいるうちに習得可能です。
是非一歩を踏み出してください!

2.最終学歴:4年制大学や専門学校を卒業する

シンガポールでは、ほぼ必須の要件なのですが、例えば、寿司職人などは、中卒という場合もあります。その場合は、実務経験や経歴がみられます。またもし高卒の場合、高卒でも受けられそうな国を選ぶか、もしくは、これから頑張って大学や専門学校の資格を取りましょう。

3.飲食にまつわる専門資格を取得する

私は、4大卒でした。飲食での経験は10年を満たない程度でしたが、ソムリエ、唎酒師、茶道初級の資格を持っていました。唎酒師の資格に至っては、シンガポールの話が来た2月20日以降に受験の申し込みをし、4月に受験しました。翌月5月5日にはシンガポールに移住しました。

私はシンガポールの懐石レストランの女将のポストに就いたわけですが、私の前に、他の日本人の女性の候補がいらっしゃったのですが、彼女はすでに現地の他のレストランで勤務経験があったにもかかわらず、なかなかビザの許可が下りなかったそうです。また会社側は、女将の採用は諦めて、日本人の男性ソムリエを、ホールマネージャーとして申請しようとしたらしいのですが、彼は英語が不得意で、レストランのオーナー(ボス)であるイタリア人とフランス人とのコミュニケーションがとれず、断念したとのことでした。

私はビザを申請してから一晩で許可がおりたそうです。資格が役にたったかどうかは分からないのですが、私はある意味そうだと確信しています。何故なら、、、

私が現地で勤務を開始してから、まだ日本人のスタッフを採用したいとボスから言われていました。色々な方法で募集し、現地にいる日本人や、日本にいる日本人にたいしてもSkype面接を繰り返しました。ある日、新卒でホテルの和食に勤務していた女性をSパスで採用しようときまりました。彼女は新卒で働き始めて間もなく、そのホテルが閉館することになってしまい、その機会にシンガポールでの仕事を探していたのです、経験も浅く、2年生の短大卒だったので、許可になるかとても不安だったのですが、たまたま彼女の短大の英語名は、「University」となっていましたし、また彼女は「和食検定」という資格をもっていたのです。

和食検定の資格がどこまでビザ取得に役に立ったかは、誰にも分かりません。しかし、少なくとも私が雇用しようと決めたとき、この資格があると聞いたことで、この業界での意気込みや本気度を測る要素だったことは間違いありません。私も日本で京懐石レストランで働いていたものの、和食検定という資格があることも知りませんでしたし。

飲食に関連した資格は、ソムリエや唎酒師(今ではSake Diplomaもありますね)、和食検定の他に、調理師免許、WSET(世界基準のソムリエ)、チーズソムリエなど色々あります。是非色々調べて資格を取っておくことをお勧めします。

👆のAcademie du Vinは、
業界でも評価の高いスクールで、
「ソムリエ」「Sake Diploma」「WSET」の講座があります。

その他、飲食人の資格一覧は
こちら
を参考にしてください!

4.飲食業での経験値とおもてなしの心を養う

海外と言っても、日本食や和食だとしたら、日本でやっていることとほぼ同じと思ってよいでしょう。和食、イタリアン、中華、ステーキ、洋食、とんかつ、カフェなど、色んな業態を経験してきた私から言わせると、どのレストランでも、やることは一緒です。お客様にお料理の説明をして、オーダーをとって、食べてもらって、喜んで帰ってもらい、また来てもらう。その根本にあるのは、「ホスピタリティ」つまり「おもてなしの心」です。またまさに日本人の「おもてなしの心」が海外では、高く評価されている部分です。海外のお店でその「おもてなしの心」が発揮できれば、お客様のみならず、雇用主にも高く評価されます。
また、お店ではハプニングはつきもの。それをどう対処するかの臨機応変さと、機転が必要です。実は、飲食業において、これが一番重要な能力だったりします。この能力も、色んな経験を経ることで培ってくるものです。次第にその積み重ねが出来てくると、先読みが出来るようになり、その先読みこそが良いサービスに繋がってきます。

まとめ

海外で働くために身に着けておきたい事は、以下の4つです。

  1. 接客に必要な最低限の英会話力
  2. 4年制大学や、専門学校などの最終学歴
  3. 飲食に関連する資格を取得
  4. 飲食業界での経験値

この4つのうち、あなたがクリアー出来ているもの、結構あるのではないでしょうか?今では大卒でフリーターで飲食店で働いている人も多いと思います。大学が専門学校の時にとった教員免許とか、簿記の資格を発揮せずに過ごしている人もいるのではないでしょうか。そういった資格も、飲食の現場では強い武器になります。

参考:他の国の就労ビザ取得についてのリンク

もし上記のうちどれか不足していることがあれば、是非求人の募集を探しつつ、身に着けていきましょう。

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